相続放棄が過去最多の32.4万件に 「負動産」を引き継がない選択も

2025年の相続放棄の受理件数が32万3,524件となり、過去最多を更新しました。前年の約30.9万件からさらに増加しており、相続放棄を選択する人が増えています。
背景には、2024年4月から始まった「相続登記の義務化」により、いらない不動産をそのまま放置できなくなったこともあると考えられます。
相続放棄というと、亡くなった親などに多額の借金がある場合に利用するイメージが強いかもしれません。しかし、近年では、所有していても活用が難しく、維持・管理の負担が生じる不動産、いわゆる「負動産」を引き継がないために相続放棄を検討するケースが増えています。
▼負動産を相続したくない
地方の実家や老朽化した空き家、利用する予定のない土地などは、売却しようとしても買い手が見つからない場合があります。一方で、所有している限り、固定資産税や建物の修繕、草木の手入れなどの負担は発生し続けます。
このような不動産は、資産価値よりも維持・管理の負担が大きくなり、相続人にとって「引き継ぎたくない財産」になることがあります。
▼不動産だけを相続放棄することはできない
注意したいのは、相続放棄では「不要な不動産だけを選択して放棄する」ことはできない点です。
相続放棄をすると、不動産や借金だけでなく、預貯金なども含めて被相続人の権利や義務をすべて手放すことになります。
もし「預貯金などの資産は相続したいが、不要な土地だけを手放したい」という場合は、一定の要件を満たせば土地を国に引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」を活用するのも一つの方法です。
また、相続放棄は原則として、「自分が相続人になったことを知ったときから3カ月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。
▼賃貸物件が将来「負動産」になる可能性
現在は家賃収入を生んでいる賃貸物件でも、将来にわたって同じ価値を維持できるとは限りません。築年数の経過や入居需要の変化によって収益性が低下する一方、大規模修繕などの負担が増える可能性もあります。
賃貸オーナーにとっても、自分の代だけでなく相続後まで見据え、物件を引き継ぐのか、売却するのかなどを家族と早めに話し合っておくことが不可欠といえます。




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