路線価上昇で相続税にも影響課税対象者が初の1割超に ①路線価と相続税
令和8年分の路線価が公表されました。全国の標準宅地の平均は前年比+2.9%となり、5年連続の上昇となりました。路線価とは、主要道路に面する土地1㎡あたりの価格です。国土交通省が毎年3月に公表する地価公示価格の8割を目安に、国税庁が毎年7月に公表します。
▼路線価と相続税の関係
路線価は、その年の相続税や贈与税の計算における土地評価に用いられます。路線価が上昇すると、路線価を用いて評価する宅地などの金額が上がり、基本的には相続税や贈与税の納税額が増加します。
▽路線価を確認する方法
最新の路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。「国税庁 路線価」で検索し、トップ画面から土地が所在する都道府県名、「路線価図」、市区町村名の順に選んで、該当する土地が掲載された図面を探します。
図面には、道路ごとに「数字+アルファベット」が表示されています。「200E」であれば、「200」の部分が路線価です。その道路に面する土地が1㎡あたり200千円(20万円)であることを意味します。アルファベットは借地権割合であり、ここでは説明を割愛します。
▽宅地の評価方法

宅地の評価は、1㎡あたりの路線価を補正率で調整し、面積を乗じて計算します。簡単な事例で評価額を計算してみましょう。
図の宅地に適用される補正率(※)は奥行価格補正率のみで「1」であるため、評価額は3600万円(20万円×奥行価格補正率1.0×180㎡)となります。この事例では、仮に路線価が5%上昇すれば、評価額も5%増えることになります。
(※)土地の形状、接する道路の数、所在する地区などによって、適用する補正率や加算率、その値が変わります。
▼相続の1割が課税対象に
相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があります。課税価格の合計が基礎控除以下であれば相続税はかかりません。
この基礎控除額を超え、相続税の課税対象となる相続の割合が増えています。令和元年分の相続税の課税割合は8.3%でしたが、令和6年分は10.4%へ上昇し、初めて10%を超えました。

さらに国税庁の「申告事績の概要」で、この6年間に申告された財産の内訳を見ると、土地の金額は約1.3倍、現金・預貯金等は約1.5倍、有価証券は約1.7倍に増加しています。一方、相続1件あたりの財産額は1.4億円前後で大きな変化は見られません。相続税の課税対象がより広い層に及んでいることや、地価や金融資産価格の上昇がその一因となっている状況が読み取れます。
この状況で注意しなければならないのは、保有する財産は変わらなくても、財産価格の上昇によって、いつの間にか相続税の課税対象になっているケースがあることです。「うちに相続税は関係ない」と考えてきた方でも、いま一度、対策の必要性を確認することが望ましい状況にあります。
次回は、相続対策について解説します。
一級FP技能士 石田夏




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