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「2016年~2017年の広大地相続」ならまだ還付手続き可能

▼広大地評価の特例

「広大地評価の特例」とは、一定以上の面積のある土地を相続した際、その相続税評価額を最大4割近く減額できる特例です。


▽戸建て用地開発を前提とした減額

 広すぎる土地はそのままでは販売しづらく、戸建ての用地として分譲するには敷地内に道路など公共設備を整えなければならないことがあります。広大地評価の特例は、広すぎる土地を開発する際に生じる公共目的の用地の負担分を評価額から減額するために制定されました。


▽平成28・29年の還付はまだ間に合う

 「広大地評価の特例」は平成29年末で廃止されました。そして間もなく平成28・29年の更正の請求(払い過ぎた税を税務署から返還してもらう手続き)の期限がやってきます。期限は相続発生から起算して5年10ヶ月です。たとえば平成29年末の相続で広大地評価の特例の適用漏れがあれば、請求期限は令和5年10月31日になります。

 適用漏れが多いことで知られる特例ですので該当年に土地を相続していれば、この機会にチェックしましょう。


▼広大地評価の適用要件

 次のすべての要件を満たす必要があります。

▽地積が著しく広大であること

 面積要件は次のとおりです。

  • 市街化区域:三大都市圏 500㎡、それ以外 1000㎡

  • 非線引き区域・準都市計画区域:原則 3000㎡ 用途地域は市街化区域と同じ

 ただし右の面積要件を満たしても、都道府県等の条例による開発基準で別途面積基準が定められている場合や、その地域の標準的な宅地の地積から広大といえなければ該当しないこともあります。


▽道路等の用地負担が必要であること

 戸建て用地として開発する際に、道路など公共公益目的の用地負担が発生することが必要です。こうした負担の生じない土地(間口が広く奥行が標準的な土地、路地状開発が合理的と認められる土地など)は対象外になります。


▽大規模工場用地でないこと

 5万㎡以上の一団の工場用地は対象外です。こうした土地は広くても活用できるので、開発行為による道路等の用地負担がそもそも発生しません。


▽マンション敷地に適していないこと

 マンションなど中高層集合住宅等の敷地に適している土地は、戸建て用の分譲が最有効活用にならないため適用対象外となります。

 指定容積率が300%以上の土地などがこれに該当しますが、容積率が低くても周囲の開発状況からマンション適地と判断されることもあります。


▼広大地の評価方法

 広大地が倍率地域に所在する場合は、その広大地を標準的宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額を、右の計算式の「広大地の面する路線価」に置き換えて計算します。

  • 【広大地補正率】 0.6 - 0.05×広大地の地積/1000㎡

  • 【広大地の評価額】 広大地の面する路線価×広大地補正率×地積


▼平成30年以降は「地積規模の大きな宅地の減額特例」に

 広大地評価の特例が廃止された後、同様の趣旨で「地積規模の大きな宅地の減額特例」が新設されました。広大地の要件であいまいだった部分が見直されています。

 平成30年以降の相続で気になる方は、国税庁のホームページ等の判定フローチャート等をチェックしましょう。

   一級FP技能士 石田夏

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