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一次相続・二次相続対策を知る【第二回】法定相続人による相続税の変化

 全3回にわたり、相続税の基本から一次相続・二次相続の注意点までを解説しています。前回は、法定相続人や相続税の計算方法について解説しました。今回は、法定相続人の数による相続税の変化を説明します。


▼法定相続人が少ないと相続税が増える

 相続した財産額が同じでも、法定相続人が少ない相続のほうが相続税は増えます。その理由は、次の3つです。


▽基礎控除が減少する

 相続税は、課税対象から「基礎控除」を差し引いた残りに税率を乗じて計算します。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」です。つまり、法定相続人が1人減ると、課税対象が600万円増えるため、相続税が増えることになります。


▽法定相続分が上がる

 相続税は、基礎控除を差し引いた額に対し、法定相続分に応じて税率を乗じて計算します。

 例えば、法定相続人が故人の長男、次男、三男である場合、その法定相続分は各3分の1ずつです。この場合、基礎控除を差し引いた後の額を3等分し、それぞれの金額に税率を乗じることになります。

 なぜ法定相続人が減ると相続税が増えるかというと、一人あたりの法定相続分が増えるからです。もし法定相続人が長男、次男の2人であれば、法定相続分は各2分の1ずつに増えます。これにより、例えば、遺産が2億円の相続であれば、相続税の総額に880万円の差がつきます。(表1参照)

 この880万円の差は、2人兄弟の基礎控除が600万円少ないことと、1人あたりの法定相続分が多いことにあります。相続税は、10%~55%の累進課税であり、例えば3000~5000万円の部分には20%、5000万円~1億円の部分には30%の税率が適用されます。つまり、法定相続分が高い(=法定相続人が少ない)と、税負担も増える仕組みになっているのです。


▼生命保険金等の非課税枠が減少

 相続税の対象になる生命保険金や死亡退職金を相続人が取得した場合、生命保険金と死亡退職金にはそれぞれ「500万円×法定相続人の数」まで非課税枠があります。例えば、先程の例で2億円の内訳が現金1億円、不動産8500万円、生命保険金1500万円の場合、法定相続人が3人であれば、生命保険金はすべて非課税になりますが、2人であれば500万円分に課税されます。これにより、3人兄弟と2人兄弟の税額の差は900万円になります。(表2参照)

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