事業承継税制 後継者要件の一部緩和 依然として早めの相談が重要
- 賃貸経営TIMES
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▼事業承継税制とは
▽事業承継税制の概要
事業承継税制とは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の認定を受けた法人や個人事業主の事業承継を税制から支援する制度です。法人の場合は、先代経営者から承継する非上場株式について、個人事業主の場合はその事業用資産について、後継者が取得する際、後継者に生じる贈与税や相続税を、一定の条件の下で猶予・免除することで円滑な事業承継を支える制度になります。
▽制度の沿革
非上場株式等を対象とする事業承継税制が創設されたのは、平成21年度の税制改正です。年間の利用件数は200~400件程度でしたが、平成30年度に、より優遇された条件で活用できる「特例措置」が時限的に創設されたことで、利用件数は年間3000件前後になりました。
コロナが明けた令和5年度については、5000件を超えています。また、特例措置が創設された翌年度には、個人事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」も時限的に創設されました。その結果、現行の事業承継税制は、非上場株式等を対象とする「法人版」と、事業用資産を対象とする「個人版」で区別され、さらに法人版には、従来からの「一般措置」と、より優遇された「特例措置」が併存します。
▽制度の期限
法人版(特例措置)の期限は令和9年12月末、個人版は令和10年12月末です。この期限内の贈与・相続がそれぞれの対象になります。
▼令和7年度税制改正
▽改正のポイント
事業承継税制では、後継者について、法人版(特例措置)には役員就任要件、個人版には事業従事要件が存在します。
本年度の税制改正では、この「期間」に関する要件が緩和されました。法人版(特例措置)では、これまで後継者は非上場株式の贈与日まで「引き続き3年以上」その法人の役員等でなければならず、個人版の後継者もまた、対象資産の贈与日まで「引き続き3年以上」、その事業に従事しなければなりませんでした。この要件が、いずれも「贈与の直前において」に緩和されました。
▽改正の背景
経産省の改正要望によると、60代・70代の経営者の割合が高水準である現状を踏まえ、適用期間が到来するまでの間、事業承継税制を最大限活用できるよう、今回の見直しが必要であるとしています。

役員就任・事業従事の要件を「贈与の直前」としたことにより、残り少ない適用期間の中で、例えば、これから新たに後継者選びを開始するなど、より多くの企業において本税制を活用できるようになるでしょう。
▼適用は早めに専門家に相談を
事業承継税制には、他にも多くの適用要件があります。また、事業承継の前後にわたり、複数の手続きが必要です。例えば、法人版(特例措置)の主な手続きには右図のような内容があります。
要件が緩和されても、適用するには専門家への早めの相談が重要です。
一級FP技能士 石田夏
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