昨年、スマートデイズ社が運営するシェアハウス「かぼちゃの馬車」において、サブリースの支払いが停止されたことが話題となりました。
サブリースとは、サブリース会社が一括借上げを行った賃貸住宅を転貸し、オーナーに賃貸料を支払う契約です。
今回はそのサブリースについて確認していきましょう。
▼サブリースのメリット
オーナーにとってサブリースの最大のメリットは、サブリース会社から支払われる賃貸料、いわゆる「家賃保証」にあります。満室時の家賃収入の8割から9割ほどが支払われ、空室が発生しても金額は変わりません。つまり空き室リスクをサブリース会社が代わりに負ってくれるというわけです。
また、物件の管理や入居者募集、入居者との賃貸契約など、面倒なことは全てサブリース会社に任せることができます。
▼サブリースのデメリット
サブリース契約によってオーナーが注意すべき主なデメリットは次のとおりです。
受け取れる家賃が少なくなる・・・サブリース会社の収益モデルは、入居者からの家賃の一部を手数料とて受け取るものです。支払われる賃貸料は満室家賃の8割から9割ほどとなるため、物件が満室状態の間は、本来得ることができる家賃より収入が減少します。
賃貸料が減額される・・・「家賃保証」の仕組みは、サブリース会社が空き室リスクを負うものです。しかし、もし空き室状態が続けば、サブリース会社は物件の「借主」として賃貸料の減額をオーナーに申し入れることができます。2年に1度のペースで賃貸料を見直す会社が多いようです。したがって、何年も同額の賃貸料が保証されるものではありません。また、採算の取れない賃貸物件については、サブリース契約を解除されることもあります。
免責期間がある・・・サブリース契約はオーナーへの賃貸料の支払いを免責できる期間を設けています。支払われる賃貸料が高い契約ほど免責期間が長くなり、なかなか賃貸料を受けとることができません。
建築費が高めになるケースも・・・サブリースは賃貸物件の建築とセットで契約するケースがあります。実際、一部のサブリース業者では、後々の空き室リスクを見越して、特定の物件において、建築費を高く設定することがあるようです。
▼サブリースを活用するには
サブリースは、大きな空き室リスクを回避できる代わりに収益の一部を手数料として支払う、一種の保険のような捉え方ができます。活用次第では「安心を買える」心強い制度になるということです。
注意点は、採算の取れない賃貸物件では、最終的にオーナーが損をするということ。そのためオーナーとしても収益を最大化するよう手を尽くすことが求められます。
たとえば、サブリースであっても委託会社に任せきりにせず、物件づくりや共用部の修繕などは通常どおりしっかり対応することが大切です。
また「家賃保証」という言葉を鵜呑みにせず、契約内容をよく確認して、賃貸料の見直しなどを考慮して収支計画を立てることも、サブリースとうまくつきあっていくコツになります。
ファイナンシャルプランナー 石田 夏
Comments