10月1日より消費税が10%になりました。消費税がもたらす賃貸経営への影響についてまとめます。
▼増税の影響を受ける支出
賃貸経営において、増税の影響を受ける支出・受けない支出には、主に次のようなものがあります。
必要なコストの大部分が増税の対象になります。特に住宅のみを賃貸している方は、賃貸収入が非課税取引となるため、多くは消費税の免税事業者です。この場合、増税によって増えた支出はそのまま事業の負担となります。
▼消費税の経過措置に注意
テナントビルの貸付けなど事業所の賃貸収入は課税取引です。10月分からは10%の消費税が適用されます。ただし、増税後も旧8%の税率が適用される「経過措置」に注意が必要です。
次の要件(①~③はすべて、④⑤はいずれか一方)を満たす賃貸契約には経過措置(旧8%)が適用される可能性があります。
経過措置に該当する取引は、必ず旧8%を適用しなければなりません。
課税事業者は理論上、増税で損をすることはありませんが、経過措置によって、支出の税負担のみ増加すれば一時的なキャッシュの流出は増大します。
▼軽減税率の影響
賃貸経営には無関係と思われがちな軽減税率ですが、たとえば来客用に購入した茶果や関係先へのお中元・お歳暮の菓子折などの購入代金は軽減税率の対象です。軽減税率の対象品を購入した課税事業者は、一定の要件を満たす請求書等(領収書を含む)や帳簿を保存しなければ、10月から原則として仕入税額控除の要件を満たしません。細かいことですが注意しましょう。
▼増税への対策
▽長く入居してもらう
賃貸住宅オーナーにとって、増税による負担の増加は避けられません。まずは今の収入を減らさないことが大切です。既存の入居者に長く賃貸してもらえるよう清掃管理や設備の入替えの検討など可能な対策を継続しましょう。
▽経過措置は専門家へ相談を
表面上は要件を満たしていなくても自動継続条項などによって経過措置の対象とみなされる賃貸契約もあります。課税事業者の方で該当しそうな契約があれば、賃貸契約書等を持参して税理士等に相談しましょう。
▽会計ソフトに軽減税率の課税区分を
課税事業者の方は、会計ソフトに軽減税率の課税区分を設定してもらいましょう。軽減税率と旧8%の税率は共に8%ですが、国税と地方税の内訳が異なります。よって税務申告で区別が必要です。設定の際は、印刷用の帳簿に仕入税額控除の記載要件が反映されることも確認しておきましょう。
ファイナンシャルプランナー 石田夏
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