賃貸オーナの皆様は、ご存知の通りと思いますが、改めて登記済権利証や登記識別情報通知の重要性について、お伝えします。
【登記済権利証について】
登記済権利証は、従来、相続や売買の登記を行った際に、法務局より登記済印を押されて返却された書類になります。
物件の表示がされたページなどに、登記済印と登記申請の受付年月日・受付番号が記載されています。
現在は、次に説明する登記識別情報通知の制度に変わりましたので、原則として登記済印による処理は行われなくなりました。
【登記識別情報通知について】
登記識別情報通知は、平成17年をスタートとして、各法務局ごとに順次、前記の登記済印による処理に代わり、登記識別情報通知が交付されるようになり、現在は、おそらく全ての法務局で登記識別情報通知が交付されるようになっているかと思います。
登記識別情報通知には、目隠し部分が付いており、その中には12桁の英数字が記載されております。いわばこれは売買等の登記における本人のパスワードです。
【登記済権利証等の重要性】
金融機関から融資を受ける場合の抵当権設定登記や売買を行う場合の所有権移転登記の際などに、前記の登記済権利証や登記識別情報通知(情報)を法務局に提供することとなります。これは所有者本人が当該登記申請に関与していることを法務局が確認するための一つの資料(情報)となります。
実際の登記の際は、これだけでは登記申請は受理されず、他に3ヶ月以内の印鑑証明書と実印を押した書類が必要となります。よって、基本的には①登記済権利証(登記識別情報通知)、②印鑑証明書(あるいは印鑑カード)、③実印(を押した書類)の3点セットが揃えば、所有権移転登記などの申請書類が出来てしまいます。
従いまして、この3点の管理が非常に重要になります。中には、盗難等により生じる危険を低減するために、この3点を、別々の場所に保管される方もいます。
つい先日、先祖より受け継いできた複数の土地・建物のうち、一部の土地を売却するため、所有権移転登記申請の依頼がありました。
そこで、登記済権利証を求めたところ、所有する全ての物件の登記済権利証や登記識別情報通知を、不動産の管理を委託している不動産会社へ預けているとのこと。
登記済権利証等を他人へ預ける危険性を説明するとともに、絶対に印鑑証明書(印鑑カードを含む)と実印(実印を押した白紙委任状等を含む)は渡さないようにとアドバイス
しました。
自分が意図しない登記をされたことにより、裁判等で解決を図るとしても、立証に失敗し権利を回復できなかったり、権利を回復できても大変な労力や費用を要することとなりますので、そういった事態にならないように、登記済権利証等の厳重な管理をお願いしたいと思います。
次回は、登記済権利証等を紛失した場合の話をしたいと思います。
立花司法書士事務所 司法書士・立花幸嗣
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