相続対策に有効な土地活用の方法は本当にアパート建築なのか?結論から言うとその通りなのですが、ではなぜアパート建築が相続対策に有効なのか、その理由と注意点を確認していきます。
▼相続対策におけるアパート建築の魅力
理由①:相続税評価額が低い
建物の相続税評価額は、建築価格の概ね50%~70%ほど。これは相続税評価額の計算に使用される固定資産税評価額が、概ねこの割合で設定されるためです。
アパート購入によって相続財産が圧縮され、相続税を下げることができます。
理由②:借地・借家権を控除できる
アパートでは、通常の評価額から、借地権と借家権分を控除することができます。
【借地権】相続税評価額の30%~90%(路線ごとに指定)
【借家権】相続税評価額の30%
理由③:小規模宅地等の特例も
アパートの敷地は、「小規模宅地等の減額の特例」(貸付事業用宅地等)によって、相続税評価額をさらに50%減額できる場合があります。
右の①~③を適用すれば、アパート建築によって、相続税の大幅な節税が可能です。もちろん節税できた金額分だけ、利回りも高くなります。
【貸付事業用宅地等】・・・貸付事業を営む土地を、特定要件下で相続すると土地の評価額を50%減額できる。(適用は200㎡まで)
▼アパート建築の注意点
いくらアパート建築が有利でも、常にアパート建築がベストとは限りません。次にその注意点を確認していきます。
・賃貸割合ゼロなら借地・借家権もゼロ
借地・借家権の控除は、「賃貸割合」の影響を受けます。賃貸割合とは、相続開始時に、建物の賃貸部分が占める割合のことです。
つまり、相続開始時に空き室が多ければその分控除できる額も少なくなります。
・「3年以内貸付宅地」だと・・・
平成30年度税制改正によって、相続開始前3年内に貸付を始めたアパートは、原則、小規模宅地等の減額特例の対象外となりました。 これは節税のためだけに行われるアパートの駆込み購入を、特例から排除するためです。
この改正によって、購入から3年以内に亡くなってしまった場合、敷地の50%の減額は、原則受けられなくなりました。
・長期的には不利になることも
もし相続後に空き室が続けば、いずれ管理コストが上回り、維持できなくなります。また取り壊すことになれば、大きな費用が発生します。
▼おわりに
相続対策のためのアパート建築は、まず節税の見込額が過大になっていないかよく吟味しましょう。また、節税額だけを見て決めるのではなく、長期的な利益が見込めるかどうかを含めて、総合的に判断することが大切です。
ファイナンシャルプランナー 石田 夏
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