top of page

【相続】知っておきたい相続の基礎ー遺言ー

更新日:2018年11月1日

 相続紛争がごく普通の家庭でも充分起こり得るのですが、この紛争の予防に効果があるのは遺言です。遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうためにおこなう意思表示です。ちなみに「遺言」は一般的には「ゆいごん」と言われていますが、「いごん」と読むのが正式です。


遺言の目的と出来ること

 遺言をする人を「遺言者」と言いますが、遺言者自らが、自分が残す財産の帰属を決め、争族を防止することが遺言の目的です。遺言で財産を取得する人を「受遺者」と言いますが、受遺者を自分の身内以外にすることも可能です。遺言者は誰に何の財産を相続させるか指定することが出来ますし、相続人それぞれの相続分を指定することも出来ます。


般的な遺言の種類

 遺言の一般的な種類は①遺言者が、その全文・日付・氏名を自署し、これに押印する「自筆証書遺言」②遺言者が、公証役場等で、証人立会の下公証人に作成してもらう「公正証書遺言」の2種類です。


2種類の遺言のメリット・デメリット

 ①自筆証書遺言と②公正証書遺言はそれぞれのメリットがデメリットになるという関係にあります。自筆証書遺言のメリットは費用をかけずいつでも書け、誰にも知られることがない点にあります。公正証書遺言では、公証人に対して作成費用を支払う必要があり、証人の立会がありますので誰にも知られず作成することは不可能です。この点が公正証書遺言のデメリットとなります。


 一方、遺言者自らがその全文記載を求められる自筆証書遺言では、内容が不明確になり、形式不備で無効になるおそれがあります。またその存在を誰にもしらせていないと、紛失のおそれや誰にも見つけてもらえないおそれもあり、この点が自筆証書遺言のデメリットとなります。


 これに対し、公正証書遺言の場合には公証人が作成しますので内容が不明確で、形式不備で無効になることはありません。また、公正証書遺言の原本は公証役場にて保管されますので紛失のおそれはありません。さらに「遺言公正証書検索システム」により亡くなった方が遺言を遺しているか否か確認することが可能ですので、誰にも見つけてもらえないと言う事態を回避することが出来ます。このあたりが公正証書遺言のメリットとなります。


 それぞれメリット・デメリットがある「自筆証書遺言」「公正証書遺言」ですが、遺言内容を確実に遺された人に伝えるためには公正証書遺言が最も安全・確実と言えると思います。


遺言すべき時期と遺言の出来る時期

 さて、遺言による紛争予防ですが、実際には「まだ早い」「健康だから大丈夫」と言う声をよく聞きます。では遺言の書き時とはいったいいつなのでしょうか。

 遺言は満15才以上になれば作成することが出来ますが、判断能力が必要とされます。公正証書遺言であれば認知症等により判断能力を喪失していると公証人が認めれば、公証人は遺言の作成に同意しませんし、全文自署の自筆証書遺言はそもそも作成が困難なのではないでしょうか。やはり、必要と認めた時が作成時と言うことだと思います。

 連載の最終回は相続税の基本的な考え方について解説したいと思います。


 ファイナンシャルプランナー/森 智



閲覧数:4回
bottom of page