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空き家放置のリスクと意識調査、一方で相続登記が義務化

近年、空き家の増加が社会問題として注目されています。

 年々増加する空き家数ですが、R5年土地統計調査によると、空き家は899万5千戸と.0%の増加、空き家率は13.8%と過去最高になっています。


▼空き家放置のリスク

 空き家を放置することは、建物の老朽化による倒壊リスクや地域の景観悪化、不法侵入や犯罪の温床となるなど、多岐にわたる問題を引き起こします。

 また、「空き家対策特別措置法」の改正により、令和5年12月から「特定空き家」に指定された場合には、行政からの指導や勧告、それに基づく固定資産税の増加措置など不利益な処分を受ける可能性があります。


▼特定空き家とは

 次の状態にある空き家をいいます。

  • 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態

  • 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態

  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 

▼相続登記の義務化

 さらに、令和6年4月1日からは相続登記の申請が義務化されました。内容は、相続や遺贈によって不動産を取得した場合、原則3年以内に登記申請を行わなければならないというものです。正当な理由なく違反した場合は、10万円以下の過料が科される可能性もあります。


▼空き家所有者の悩み

 法整備による空き家の放置リスクが高まる中で、空き家を実際に所有する人や相続予定のある人は、どのような対応を考えているのでしょうか。

 ㈱ジェクトワンが2024年7月に発表した「空き家所有者の実態と悩みに関する意識調査」によると、所有する(あるいは相続予定の)空き家を「1年以内に売却する予定がない」と回答した834人に「売却しても良い」と思えるための条件を尋ねたところ、「どんな条件でも1年以内には売却しない」が31.3%と、売却の手間や費用の問題が解決すれば売却しても良いと考える人が一定数いる中で、売却しないと回答した人が3割を超えています。

 また、調査対象全体に対して、空き家に対する悩みや売却・活用を検討する際に制約となることを尋ねたところ、「不用品の整理・撤去ができていない」「残置物が多くて片付けられない」「何をするのがよいかわからない」といった回答が上位となっています。

 このことから、空き家の片付けがままならず売却どころではない人や、方針が定まっていないまま所有を続けている人が少なからずいる状況が浮かび上がってきます。

 

▼空き家対策の今後について

 活用しない空き家を放置すれば、負担や法的責任を負うリスクが増大するばかりです。空き家所有者の方は、早めに売却や賃貸などの活用方針を決めることが求められます。場合によっては、自治体や専門業者に相談をしながら、不用品の整理や撤去、不動産の活用方法などについて助言や具体的な支援を受けることが大切です。

 一級FP技能士 石田夏

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