長く続いた新型コロナウイルスや東京オリンピックの影響もひと段落しつつあります。新たに考慮しなくてはならない問題を紹介しながら、2023年以降の不動産市況を考察していきます。
▼2023年問題・世帯数減少へ
少子高齢化がすすむ日本では、2008年をピークに人口減少が始まっています。しかし、核家族の増加や独居率の上昇によって、世帯数は増加を続けていました。しかし、2023年には世帯数もピークを迎え、その後は減少していくとみられています。
住居は世帯の数だけ必要です。しかし、世帯数が減少していくのなら住宅需要は低くなり、空室問題と空き家問題がより顕著になるでしょう。
▼2025年問題・団塊世代が75歳以上の後期高齢者に
団塊の世代が、全員75歳以上になるのが2025年です。2025年には国民の5人に1人が後期高齢者になる見込みです。このことが不動産市況に与える影響としては、空き家の増加による不動産価格の下落、公共サービスの縮小による利便性の高いエリアへの人口集中の2つがあ
ります。
後期高齢者が増えれば、マイホームの相続や空き家が増えます。一方で、マイホーム需要の高い30~40代は人口減少していきます。相続した家を売却しようとしても、そもそも購買層となる世代の人口が減少しているため、今まで以上に買い手がつかなくなり、空き家が増加します。
たくさんの物件があるのに住みたいと考える人がいないという、需要と供給のバランスの崩れにより、不動産価格は低下していくと予想されます。
後期高齢者が増えれば、自治体は、介護を中心とした社会保障費が多く必要になります。しかし、人口減から税収は落ち込みますので、学校や図書館、スポーツ施設といった公共施設の縮小や廃止をして補填することになります。
結果として、各エリアにおいては、これまで以上に、利便性の高い場所への人口集中の波が高まるでしょう。言い換えれば、利便性の高いエリアは不動産の価格下落の心配は少ないことになります。
不動産市況は、日本の人口問題だけでなく、円安や資材費の高騰、外国投資家からの注目度合いなどにも左右されます。しかし、不動産価格が下落していく地域と、利便性の高さから堅調に推移する都市部の二極化は避けられないでしょう。エリアごとの状況をこまめに確認していくことが不動産市況を把握する上で、最重要になりそうです。
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